今年度は、集約化政策を採る都市を対象とした公共空間に関する施策方針の実態把握と、公共空間の多様性内包度を評価する指標導出を目的として、下記の内容を実施した。 1)集約化政策を採る国内外都市(青森市、アメリカ・ポートランド市等)に関する資料調査及び現地調査を行った。調査結果より①交通施策、②気候・街区構造といった地域性の観点から、集約化政策の手法と公共空間デザインの特徴について対応関係を整理した。 加えて、2)多様なアクティビティが集積する国内外都市(東京都、旭川市、倉敷市、アメリカ・ニューヨーク市、サンフランシスコ市)の代表的公共空間を対象に、空間デザイン、地域コミュニティによる利活用及びマネジメント実態に関して文献調査、ヒアリング及び現地調査を行った。 以上の結果に基づき、公共空間のうち特に「メインストリート・広場」に着目することとし、都市集約化の拠点となるようなこれらの空間において、多様なアクティビティを誘発するには、市町村レベルの地域課題に応じた道路構造令弾力的運用により、利活用円滑化を位置づけることが必要である点、その際に留意すべき、①利活用に資する空間の規模設定方法、②行政による「利活用の公共性」の明示の必要性、③中間支援組織・地域民間組織の果たすべき役割について具体的に明らかにした。 これらの成果は国内都市が縮退化する中、終戦直後~高度成長期の間に制定された公共空間関連法の下における現況のマネジメントの限界を示すとともに、公共空間の多様性内包度向上にむけた計画行政による政策立案やマネジメント実務に有用な知見を示している。
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