研究課題
特別研究員奨励費
これまでの多くの生化学的な研究により、DNAに作用するタンパク質群が網羅され、これらのタンパク質間相互作用を中心とするタンパク質機能解析が精力的に行われた結果、DNA代謝反応の分子モデルが提唱されるに至っている。これらの研究の多くは、試験管内反応産物をゲル電気泳動法により解析することに依っている。試験管内の反応溶液には数百万以上のDNA及びタンパク質の分子が含まれているため、そこから得られた結果は多分子の挙動の平均値の情報しか反映しておらず、個々の分子の揺らぎの影響を解析することは困難である。また、試験管内実験ではDNA代謝反応の中間過程の素反応の実態を明らかにすることが難しい。そのため、DNA代謝反応の分子機構には未だ不明な部分が多く残されてる。上記の問題点の解決には、微小反応場の制御が可能な微細流路装置、DNAの1分子操作が可能な磁気ピンセット装置、高感度カメラを装備した蛍光顕微鏡装置の組合せから構成された1分子蛍光観察装置を用い、DNAの形態を制御すること、DNA及びタンパク質を蛍光標識することが有効である。そこで、本研究では上記の1分子蛍光観察に必要な装置及び技術を駆使し、1分子レベルにてDNAポリメラーゼによるDNA合成反応、負の超らせんがDNA複製反応の開始に与える影響を直接観察により評価した。主な研究実績として、1分子レベルの蛍光観察による負の超らせんがDNA複製開始に与える影響の解析に関する研究では、負の超らせん密度の増加がSimian virus 40 (SV40) DNA複製反応の開始を上昇させること、負の超らせんがSV40ラージT抗原(DNA複製開始とDNAヘリカーゼの機能を合わせ持つ複製因子)によるDNA鎖巻き戻し反応を促進させることなど、負の超らせんがSV40DNA複製開始の制御に重要な役割を果たすことを示唆する結果が得られた。上記の研究成果は査読付国際学術誌Journal of Biomolecular Structure and Dynamics誌にて発表した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (12件) (うち国際学会 1件)
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