研究課題
特別研究員奨励費
真に有効な抗がん剤の開発は、ヒト医療、獣医療双方にとって重要な課題である。がんではリン酸化酵素キナーゼの異常な活性化とともに、脱リン酸化酵素ホスファターゼの活性抑制が観察され、「ホスファターゼ活性の回復」は新たな創薬標的として期待されるが、ホスファターゼ活性の低下によるがんの悪性化の分子機構は十分に明らかになっていない。オートファジーは異常タンパク質や不良ミトコンドリアなどを分解することで細胞の恒常性維持に働き、がんの抑制に重要な働きを果たしている。オートファジー誘導に必須の因子であるBeclin1は、ヒトの様々ながんにおいて高率に変異や欠損が認められること、ヘテロノックアウトマウスでがんの自然発生率が増加することから、がん抑制因子であることが知られている。したがって、Beclin1の機能がどのように制御されているかを理解することは、発がんメカニズムの解明およびこれを標的とした治療戦略の創出につながるが、その分子機構についてはほとんど明らかになっていない。前年度PP2AがBeclin 1 Ser90を脱リン酸化すること、反対にDAPK3がBeclin 1 Ser90をリン酸化し、オートファジーを調節していることを明らかにした。本年度はBecin1 Ser90のリン酸化が、がんの成長・転移に与える影響と前年度の検討を行っている過程で、見出したPP6によるBeclin1の制御機構の詳細な検討を行った。その結果、Beclin 1 Ser90のリン酸化が腫瘍の成長に影響を与えることをBeclin1 Ser90の変異体を用いた解析により明らかにした。また、PP6はBeclin1の複合体構成を変化させ、オートファジーを制御することをPP6の発現抑制実験により明らかにした。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 3件)
Stem Cells International.
巻: - 号: 1 ページ: 7053872-7053872
10.1155/2016/7053872
The Journal of Biological Chemistry
巻: inpress 号: 20 ページ: 10858-10866
10.1074/jbc.m115.704908