昨年度までに、小学校通常学級における児童の仲間との社会的相互作用および授業参加行動に関する実態調査、学級支援、さらに学級支援と並行した発達障がいのある児童への個別支援の実践研究を終えた。本年度は、授業参加行動を促進する支援を行う際の筆者(外部専門家)の関与を減らし、学校現場の教員に支援を行う役割を移行させることで支援の持続を図った。その結果、学校内の教員が中心となって授業参加行動を促進する支援を持続的に実施することができ、児童らの授業参加行動が増加することも確認された。現在、本研究について論文を執筆中であり、査読付きの国際誌に投稿予定である。 また本年度は、昨年度までの研究成果を還元するために、各実践研究について論文を執筆し学術誌に投稿した。その結果、査読付きの国際誌に論文1編、査読付き国内誌に論文2編が掲載された。具体的な掲載誌と研究内容は次の通りである。「Psychology」に特別支援学級在籍の発達障がいのある児童と通常学級児童の社会的相互作用を促す支援に関する実践研究論文、「教育心理学研究」に児童の授業参加行動を促す学級支援に関する実践研究論文、学級支援が効果的でなかった発達障がいのある児童への個別支援に関する実践研究論文が「行動分析学研究」に掲載された。 さらに本年度の大きな成果として挙げられるのは、これまでの実践研究の成果をまとめて博士論文(題目:公立小学校における教師と外部専門家の協働による積極的行動支援 (PBS) の実践研究――児童間の社会的相互交渉および授業参加行動への行動支援――)を執筆し、2016年11月に提出、2017年3月に博士(心理学)の学位を取得したことである。以上のように、本年度はこれまで得られた実践研究の成果を還元するための活動に重点を置き、博士論文の完成や学術誌に査読付き論文3編が掲載されるなどの成果を得ることができた。
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