研究課題
特別研究員奨励費
今年度は、事実婚経験者6名にインタビューを実施した。20代から70代まで幅広い世代の対象者に調査が実施できたことにより、事実婚経験者の世代的差異や個人史的変化を知ることができたことは大きな収穫であった。特に、若年層の事実婚実践者が、自らの関係をあまり「事実婚」と語らないのに対し、年長世代ほど「事実婚」であることを強調する傾向が見られた。おそらく事実婚実践者の経験・苦悩等は、その時代の家族・結婚をめぐる社会規範に大きく左右される。皆婚規範が強い社会、あるいは、婚前同棲がスティグマ化されている社会状況では、実践者は自らの関係を「事実上の結婚」、すなわち「普通の結婚」であると強調することを要請される。一方、家族規範が弛緩・多様化しつつある近年は、同居関係を「結婚」に枠づける必然性は低下しているように思われる。同居生活をしている若年層のカップルたちは、従来型の結婚に懐疑的である一方で、「子どもは結婚してから産むべきだ」という嫡出規範は強く内面化している傾向がみられた。以上の調査をもとに、事実婚・同棲を分析した論文を執筆中である。また、8月にオランダにて、インタビュー調査とフィールド調査を実施した。知人の紹介により、アムステルダムとライデンの2つの都市でオランダ人男性と日本人女性のカップル5組に同棲や結婚、子育て、親子関係、仕事等について聞き取り調査を実施した。この結果、家族をめぐる制度、人々の意識、ワーク・ライフ・バランスの内実について多くの知見を得ることができ、日本との比較文化研究に向けて大きな収穫となった。さらに、アムステルダムで開催されたAmsterdam Gay Pride 2016に参加し、視察・取材・資料収集をおこなった。今回は、パイロット調査であったが、次年度はオランダで同性カップルのインタビュー調査を実施する予定である。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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慶應義塾大学大学院社会学研究科紀要
巻: 81 ページ: 109-117
家族社会学研究
巻: 27 ページ: 91-91
生涯研究
巻: 25 ページ: 9-25
年報社会学論集
巻: 28 ページ: 76-87
130005421108
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