研究実績の概要 |
昨年度から進めていたカザフスタン共和国コクチェタフ変成帯産ダイヤモンドを含むザクロ石―単斜輝石岩とダイヤモンドを含まないザクロ石―単斜輝石岩の比較研究の成果を論文にまとめ、“Journal of Asian Earth Science”特集号"subduction zone" に投稿した。 アメリカ合衆国アリゾナ州北東部に位置するGarnet Ridgeから初めて発見したNa角閃石の離溶を含むマントルザクロ石の研究結果は、“Progress in Earth and Planetary Science”に招待論文として掲載された(Sakamaki et al., 2016, Hydrous Na-garnet from Garnet Ridge; products of mantle metasomatism underneath the Colorado Plateau, Progress in Earth and Planetary Science, 3 (1), 1-17)。本論文は、北米大陸下へと沈み込んだ海洋地殻の脱水起源流体と安定大陸下のマントルカンラン岩とのマントル交代作用を実証的に示した。 同地域のBuell ParkとGreen Nobsに産するカンラン石捕獲結晶から発見した単斜輝石と磁鉄鉱からなるラメラ組織が、カンラン石と連晶していた含水リングウッダイトの分解生成物であることを明らかにした。これまでに天然での含水リングウッダイトの証拠は一例のみ(Pearson et al., 2014, Nature)であり、本研究での発見は二例目である。本研究は北米大陸下の上部マントル深部に含水リングウッダイトとして多量の水が貯留されている可能性を示した点で意義が大きい。この成果は、Goldschmidt ConferenceとAmerican Geophysical Union 2016 Fall Meetingで発表した。現在2017年度中の投稿を目指し、原稿準備中である。
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