研究実績の概要 |
本研究は不完全な四肢再生を行うアフリカツメガルの再生能力について検証を行った。不完全な四肢再生をする無尾両生類アフリカツメガエルを、完全に再生する有尾両生類のような再生に近づけることを目標に種間の四肢再生能力の比較を行った。 初めに不完全な再生をおこなうアフリカツメガエルと完全な再生を行うアホロートルの再生芽の分化能の差を検証した。アフリカツメガエル、アホロートルともに四肢を切断すると切断面に再生芽と呼ばれる未分化な細胞の集団が形成される。本研究では再生芽細胞の軟骨分化に注目し、アフリカツメガエル、アホロートルの再生芽の差を検証した。過剰肢付加モデルによる検証の結果、変態後のアフリカツメガエルは完全な再生を行うアホロートルと異なり皮膚由来の再生芽細胞が軟骨分化能をもたないことが示唆された(Mitogawa et al., 2015)。 次に変態後のアフリカツメガエルの再生能力を向上させる方法を模索した。通常、変態後のアフリカツメガエルの再生体はスパイクと呼ばれる1本のとがった構造となる。外科的に再生芽中の神経の量を増やして再生させてやると、再生体に複数の指のような分岐構造を持たせることができた。本研究では再生芽が分岐構造を形成するために外科的に増やした神経がどのような働きを担っているのか、神経量による再生芽細胞の遺伝子変化を検証した。神経を増やすことで再生芽細胞の増殖が活性化、いくつかの形態形成関連遺伝子発現の変化を確認した。さらに神経の代わりに神経に発現している因子を再生芽に導入することで神経と同様に分岐構造の形成を行うかどうかを検証した。結果、BMPやFGF,SHHといった神経に発現する遺伝子を導入することで形態形成関連遺伝)の発現、内部軟骨構造の変化を誘導できた(Mitogawa et al., 2018)。
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