研究実績の概要 |
2回らせん構造は、有機結晶の約70%が持つ普遍的な対称操作であり、右巻きと左巻きの対掌体が存在しうるキラルな構造である。しかしながら、そのキラリティの違いを反映した対称要素の表記が未だに存在せず、2回らせんのキラリティに言及した議論ができない状況が続いていた。そこで本研究は、旋光性に基づく絶対キラル構造決定手法を様々な2回らせん構造を持つ結晶に応用し、2回らせん構造をもつキラル結晶のキラリティ表記法を新規構築することを目的とした。 L-, D-アラニン結晶(空間P212121)、硫酸トリグリシン結晶(TGS, 空間群P21)及びアラニンドープTGS(ATGS) に関して(1)各結晶の育成、(2)単結晶X線構造解析による絶対構造の決定、(3)一般型高精度万能旋光計(Generalized-High Accuracy Universal Pora limeter; G-HAUP)による結晶のらせん軸方向の旋光分散測定、(4)絶対構造と旋光分散の関係づけを行った。L-, D-アラニン結晶、TGSおよびATGSの(1)各結晶の育成、(2)単結晶X線構造解析による絶対構造の決定に成功した。さらにL-, D-アラニン結晶についてはb軸方向の(3)G-HAUPによる結晶のらせん軸方向の旋光分散測定、(4)絶対構造と旋光分散の関係づけに成功した。 以上のアラニン結晶に関する研究成果は、Journal of Physics and Chemistry of Solidsにて発表した。
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