研究実績の概要 |
まず、本研究の対象であるActinoplanes missouriensisの遺伝子操作方法の改良に取り組んだ。様々な検討の結果、MS培地に終濃度40mMのMgCl2を添加した培地と、スターチを主成分とするISP4培地に0.05% Yeast extract, 0.1% Tryptone、終濃度40mMのMgCl2を添加した改変ISP4培地上で遺伝子組換えが極めて容易に行えるようになった。 ブレーキタンパク質FtgAの機能解析では、栄養を感知した際のみにブレーキがかかる理由を解明するために、FtgAが存在するCheクラスター内の他の因子と、ブレーキの機能の発揮に関連があるのか検証するため、Cheクラスター1, 2, 3すべてを破壊した株に1コピーのFtgAを相補した株を作製した。この株で正常にブレーキがかかったことから、FtgAの機能とCheクラスター中の他の因子に関係はないと示された。FtgAの相互作用対象と示唆されているFliN, FliG, FliIの組換えタンパク質の取得は難航したが、最終的にGST融合タンパク質として取得に成功した。現在、プルダウン実験を行っている。 べん毛形成に必須なチオレドキシンTrxAの機能解析では、CsrA-FliWシステム関係の遺伝子破壊株およびTrxAとの二重破壊株を作製した。その結果、FliWとCsrAは協働しており、おそらくCsrAはfliC mRNAのSD配列付近と、FliWの両者に結合できること、FliWはFliCに結合していることが示唆された。 線毛の機能解析では、学習院大学中根助教との共同研究により大幅な進展が見られた。まず、遊走子線毛は平均5.6本、620nm、太さ5nmだった。また、線毛は水圧変化を受けると即座に引き込まれること、疎水性表面に付着すること、親水性表面には付着しないことが判明した。
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