研究課題
特別研究員奨励費
前年度の報告で述べた通り、筆者は種々の検討の結果、当初の研究目的であった「カチオン性ロジウム錯体触媒を用いて、ロジウムカルボキシレートを鍵活性種としたsp3 C-H結合官能基化反応の開発」は困難であるという結論に至り、これに代替する研究テーマとしてエナミドを用いた不斉[2+2+2]付加環化反応を研究し、カチオン性ロジウム錯体触媒存在下、1,6-エンインとエナミドの分子間不斉[2+2+2]付加環化反応が進行し、カルボニル基で保護されたキラルアミンが得られることを見出した。本年度は、この前年度の研究成果をまとめてAngew. Chem. Int. Ed. 誌に投稿した。さらに、より有用な反応への展開としてN-ホモプロパルギルエナミドを用いた[2+2+2]付加環化反応を着想した。本反応によって多様な置換基をもつテトラヒドロインドール骨格をエナンチオ選択的に構築することができればインドールアルカロイドとして報告されている数多くの生理活性物質の新規合成法を確立できると考えたためである。検討の結果、2-ブロモエチルアミン臭化水素酸塩のスルホニル化、光延反応、脱ハロゲン化水素反応を行うことで、N-ホモプロパルギルスルホニルエナミドの合成に成功し、続いて本化合物と末端アルキンとの分子間不斉[2+2+2]付加環化反応が高い位置およびエナンチオ選択的に進行することを見出した。また、得られたテトラヒドロインドールを、[4+2]付加環化反応と引き続く還元によってジオールへと変換した。以上のように筆者は、N-ホモプロパルギルエナミドを用いた不斉[2+2+2]付加環化反応と引き続く官能基変換によって不斉ヘキサヒドロインドール骨格をもつジオールを位置、ジアステレオ、エナンチオ選択的に合成することに成功した。このジオールはインドールアルカロイドの一つである(-)-クリニンの合成中間体として考えられる。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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http://www.apc.titech.ac.jp/~ktanaka/www/Home.html