末梢から脳に直接投射する神経の機能的解析では、博士研究員により平行して進められていた解剖学的解析より、翅、平均棍、脚からの感覚受容器から直接脳へ投射する神経があり、それぞれ脳の異なる7つの領域に終末することが明らかとなった。またそれら神経がどの感覚器に由来しているのかも分かった。本研究では、それら7つの神経群のうち1つは脚の味覚神経であることが分かっているため、残り6つの神経群において、脳でのカルシウムイメージングを行いどのような刺激に対して反応するのかを調べた。その結果、翅、平均棍、脚から直接脳に投射する神経群は、どれも共通して動きに対して反応した。すなわち、翅、平均棍から直接脳へ投射する神経は翅や平均棍の動き(角度や頻度)を反応している神経の種類、数によりモニターし、脚から直接脳へ投射する神経群は、脚が地面に接地しているかどうかに関わらず、また脚の角度に関わらず、脚が動いた場合に強く反応したことから純粋に動きのみを検出しているといえる。さらに、脚からの神経群においては前脚、中脚、後脚で、脳での投射領域が異なることを機能的に明らかにすることに成功した。これらの結果から、直接脳へ投射する神経は体の部位ごとに脳での投射先は異なるが、伝える情報は似ていることが明らかとなった。 脳に投射する介在神経の機能的解析は、博士研究員により平行して進められていた解剖学的解析より、少なくとも6種類あることが判明し、それらのうち、これまでに一つの神経群において機能的な解析ができている。その介在神経は地面に脚が接地している状態では、脚が動くと強く反応し、止まった状態では反応が弱くなる。しかし、脚が空中にある状態では脚を動かしているのにも関わらず反応が顕著に落ちる。このことから、介在神経が直接脳へ投射する神経とは異なる情報を脳へ伝えていることが分かった。
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