研究実績の概要 |
研究課題である心拍周波数・身体加速度間の協働連関指標の創出のために,1分間隔で取得した心拍周波数データのうちHF (High Frequency), LF (Low Frequency), TF (Total Frequency), HFnu (HF/TF) を用いた自律神経機能と身体加速度間を使い交差相関解析によりlag(両者のずれ)を得,lagについて新たに%Lag0という指標を用い,1時間あたりのlagが生じなく両時系列の協働連関が保たれている割合を表した. %Lag0は年齢依存性が大きいことが判明しているため,高齢者(60歳以上)と非高齢成人(20~59歳)に分けた解析を行なった.被験者はそれぞれストレス指標としてGHQ28 (General Health Questionnaire 28)の質問項目について記入し,各項目,及びtotalスコアについて夜間睡眠前後1時間における%Lag0との比較を行なった.各項目及びtotalスコアについて非ストレス群・ストレス群に分けた.就寝前,起床後,HFnu-PA, LF/HF-PA間それぞれの大半の項目について,高齢者と非高齢成人群との間で非ストレス群,ストレス群共に%Lag0について有意差が見られた.また,うつ傾向について,高齢者の就寝前1時間に着目すると,同年代間においてうつ傾向が高い群ではうつ傾向が低い群に比べ,%Lag0が有意に高くなった.これらのことから,高齢者ではうつ傾向が高いと就寝前1時間において特に自律神経―身体活動間での協働連関が阻害されることが示唆された.これらは非侵襲下で行うことが可能な測定であり,このことから高齢者におけるうつの簡便で定量的な方法として応用することが可能となる.
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