研究課題
特別研究員奨励費
太陽の大気コロナでは、フレアに代表される爆発現象や、コロナ質量放出(以下CME)と呼ばれるプラズマ雲の放出現象が発生する。その過程では、強い電波放射(太陽電波バースト)が発生する。粒子の伝搬速度よりも電波の伝搬速度は速いため、電波バーストの検出は宇宙天気災害の有効な予報手段となる。山川望遠鏡は受け入れ研究機関であるNICTが新たに開発した太陽電波望遠鏡である。観測周波数帯域は70MHz - 9GHzであり、フレアに起因する太陽電波バーストの発生周波数帯域をほぼ全てカバーできる。本望遠鏡にはFPGAを用いた最新鋭のデジタル分光計OCTAD-Sが搭載され、観測する全帯域で8msの時間分解能で連続観測が可能である。本年度はこの新型分光計の性能評価および査読論文への投稿を行った。論文は現在査読中である。論文化と並行して山川望遠鏡を用いた太陽電波バーストの定常観測を行った。その結果、多数の電波バーストの受信に成功した。特に2016年4月18日に発生した太陽フレアに伴う電波バーストは、NICTが毎日行っている宇宙天気予報の直前に発生した。そのため関連する太陽フレアによって発生した高エネルギー粒子の地球への到来を、電波バーストの情報から到来前に予測し、予報発令に反映させることに成功した。この予報成功は本研究の重要な目的の達成を意味する。今後は電波バーストの自動認識システムを付加することで、粒子の到来前予測の例を増やすことが課題である。この他、山川望遠鏡と相補的な情報が得られるミリ波・サブミリ波の太陽観測を実現するために野辺山45m望遠鏡による太陽観測実験を行い、高度高度な較正手法を開発した。この技術を応用して日米欧の国際協力で建設された大型ミリ波・サブミリ波電波干渉計ALMAによる太陽観測国際チームに参画し、ALMAを用いた世界初の太陽観測実験を成功させることに大きく貢献した。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
すべて 2017 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 2件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (17件) (うち国際学会 6件、 招待講演 2件)
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