研究課題
特別研究員奨励費
LDH(Layered double hydroxide)は,固体塩基触媒として種々の有機反応に活性を示す他,バイオマス由来糖類からの各種基礎化合物合成への応用が期待されている。一方で、積層構造を持つLDHの塩基活性点は、表面層のエッジやコーナーに位置するアニオン種限定される欠点を持つ。従って、LDHが本来有する塩基特性を最大限に引き出すためには、層構造の剥離と平面方向の微結晶化が必須となる。そこで私は、球状SiO2共存下で調製した新規固体塩基触媒SiO2@LDHを調製し、SiO2@LDHが従来のLDHに比べ小さいLDH結晶子と高い塩基触媒機能を発現することを見出してきた。平成28年度にはまず、結晶構造の異なる種々のLDHを調製し、結晶子サイズと触媒活性との関連について検討を行った。その結果、触媒重量当たりの触媒活性はLDHの結晶子サイズが小さくなるほど向上することを見出した。特に活性の高かったSiO2(40nm)@LDHについて、SiO2導入量が結晶子サイズと活性に与える影響を検討した。XRDから見積もったLDH結晶子サイズは、SiO2導入量の増加に伴い減少した。また、滴定実験から求めた触媒重量当たりの塩基量は、SiO2導入量に伴い増加する傾向を見せた。これらの結果は、微結晶化されたLDHほど高い塩基量を有することを支持している。一方で、触媒重量当たりの塩基量はSi/(Mg+Al)比0.17で最大となり、それ以上のSi/(Mg+Al)比では減少する傾向を見せた。以上の結果から、単純なLDH結晶子サイズの比較だけでなく、SiO2とLDHの量的関係が重要なファクターとなることを見出した。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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