研究課題
特別研究員奨励費
本研究は、claudin-5 binderを用いて血液脳関門を制御し、薬物をより脳に送達させる戦略の確立を行うことを目的とする。本提案は、claudin binderを用いることで、claudinにより構成された細胞間隙密着機構であるtight junctionが可逆的に制御され、細胞間隙を介した薬物輸送を可能とする、という当研究室が明らかにしてきた知見に基づく。特にclaudin-5は、血液脳関門を構成する脳内血管内皮細胞で高発現しており、その欠失は特定の分子量以下の分子の透過を許容する血液脳関門を形成することが分かっている。本研究を遂行するためには、claudin-5の細胞外領域に特異的に結合するbinderの取得が必要不可欠である。本研究では、claudin-5を膜表面に有するプロテオリポソームを免疫することで、世界初となるclaudin-5特異的binderであるモノクローナル抗claudin-5抗体を複数クローン作製することに成功した。続いて、取得した抗体の中で最もヒトclaudin-5への結合親和性が高い2B12と名付けた抗体のバリア制御活性を、市販されている血液脳関門を模倣した培養系を用いて評価した。その結果、2B12を500 ug/mLの濃度で処置した場合、この模倣系の経内皮電気抵抗値を50%近く低下させることが分かった。本研究で得られた抗claudin-5抗体は、世界初のclaudin-5特異的binderであり、かつ、血液脳関門のバリアを緩める活性を持つことが分かった。今後は、本研究で得られた抗体及び抗体を用いて作製したclaudin-5 binderを用いて、claudin-5 binderによって血液脳関門の透過性を向上させ、脳内への薬物の移行量を向上させることが実際に動物モデルで可能であるかを評価して行く予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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