研究課題
特別研究員奨励費
北里生命科学研究所におけるフィジコケミカルスクリーニングによって放線菌Actinoallomurus fulvus MK10-036株培養液中より単離されたactinoallolide Aはin vitroにおいて既存薬に匹敵する非常に強い抗トリパノソーマ活性を示すことが分かっている。そこで我々は、抗トリパノソーマ薬創製を目的とし、actinoallolideをリード化合物とした創薬研究を展開してきた。その中で最も基盤である天然物の全合成に着手した。複雑な天然物の合成において、電子豊富な4置換ベンゼンからβ-ケトエステルへと導く変換法はこれまでに報告例がなかったため、まず初めに単純なモデル基質を用いた本反応の検討を行った。その結果、4置換ベンゼンのバーチ還元に続く、オゾン分解を行うことで、高収率でβ-ケトエステルを構築する条件を見出した。そこで次に、本反応の実際の全合成中間体への適用を検討した。前年度までに合成を完了した全合成中間体を用いて、バーチ還元を行ったところ、望むベンゼン環部分の還元は進行しなかったものの、不要なアリルアルコールの除去とPMPアセタールの脱保護が進行し、化合物2が得られた。しかしながら、同時に環状カーボネート部位のオレフィンへの変換が起こることが判明した。種々検討の結果、バートンマッコンビー脱酸素化を用いることで、アリルアルコールの除去を行った後、環状カーボネート部位の脱保護に続く、アセトニドによるジオールの保護を行った基質を用いて、種々の条件によるバーチ還元の検討を行った。未だ、満足のいく結果は得られていないが、所望のエノールエーテルを構築した化合物が得られる条件を見出しており、本知見を活かすことで今後Actinoallolide Aの全合成が達成されることを期待する。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Tetrahedron Lett.
巻: 57 号: 3 ページ: 357-360
10.1016/j.tetlet.2015.12.022