研究実績の概要 |
昨年度は5本の論文 (arXiv:1605.04646, 1606.07631, 1609.08876, 1611.06130, 1701.02544) を提出した。1つ目の論文では小スケールにもし大きな曲率ゆらぎが生じていた場合、それがビッグバン元素合成に与える影響について再考察し、既存の結果が定性的レベルで修正されることを示した。また3つ目の論文では、曲率ゆらぎのスクィーズド極限バイスペクトルに関し、近年指摘されているゲージ依存効果についての新たな理解を示し、簡単な計算アルゴリズムを提唱した。これは今後、実際に何らかの観測 (宇宙背景放射や銀河バイアス等) によってバイスペクトルを測定し、それを宇宙初期の物理と対応させるときに非常に重要になってくる。残りの論文では原始ブラックホールについて議論している。昨年 LIGO グループが初の重力波直接検出を発表し話題になったが、この重力波は重いブラックホール連星の合体から来ており、こうしたブラックホールが原始ブラックホールである可能性も注目されてきている。また伴って、原始ブラックホールが暗黒物質である可能性も再注目されてきた。そこで我々は実際に具体的なインフレーション模型を構築し、原始ブラックホールが LIGO の重力波イベントや暗黒物質を説明しうるか、また他に検出方法があるかどうかなどを検証した。 これら研究成果に関し、国際会議で2度, 国内会議で1度口頭発表を行った. また国内外合わせて4つの研究機関でセミナー発表を行った.
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