研究課題/領域番号 |
15J11000
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
田村 哲也 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2015-04-24 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2017年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2017年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2016年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2015年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
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キーワード | 孤独 / 個別性 / 普遍性 / 悪 / 表現形式と関わる主題 / 制度への寄生 / 喪(deuil) / 母と息子のカップルの形象 |
研究実績の概要 |
本年度は、前年度同様に、ジャン・ジュネの作品の精読を軸に展開するモノグラフィックなアプローチをつうじて、同時代の代表的な思想家(ジャン-ポール・サルトル、ジョルジュ・バタイユ)におけるジュネ像を再検討しつつ、新しいジャン・ジュネ像の構築を目指した。具体的には、まず、ジャコメッティ論や二つのレンブラント論に代表される中期の芸術評論と、後期の政治評論を精読した。精読による解釈を基に、本研究で強調している三つの主題(放浪、悪、孤独)のうち、前年度取り組めなかった孤独の主題が中後期の作品においてどのように表現されているのかを分析した。 以上の分析の結果、第一に、孤独が、中期の芸術評論において、個別性と普遍性の特異な関係性を提示する主題として描かれていることを明らかにした。小説の中のフィクショナルな分身の孤独から、芸術評論における芸術の鑑賞者の孤独へと、前期から中期にかけてその性質が変容していることに留意しなければならないが、中期の芸術評論において、孤独は、個別化と普遍化を同時に促す触媒として描かれている。 第二に、『恋する虜』においても、中期の芸術評論にて孤独をつうじて表現されている、個別性と普遍性の特異な関係が描かれていることを確認した。まず、この作品のテクストの基礎構造において、個別化と普遍化の相反する二つのベクトルが同時に機能している。さらに、ライトモチーフである「母と息子のカップル」において顕著に見られるように、ジュネにとって個別的な問題が、より普遍的な「母と息子」をめぐる問題に送り返されている。 本年度の研究報告として、前年度の学会発表に上記の分析を反映させて、「『恋する虜』のイルビトの夜の場面の分析」と題した論文を執筆した。本論文は、日本フランス語フランス文学会の学会誌である『フランス語フランス文学研究』第111巻(査読有)に掲載されている。
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現在までの達成度 (段落) |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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今後の研究の推進方策 |
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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