研究実績の概要 |
当研究室では、in situで調製される次亜ヨウ素酸塩を触媒に用いる環境調和型酸化的カップリング反応の開発に取り組んでいる。今回、本触媒システムを用いるヒドロキシケトンのエナンチオ選択的酸化的環化反応による2-アシルテトラヒドロフランの不斉合成を検討した。その結果、酸化剤にクメンヒドロペルオキシドを用いることで反応が進行するようになり、目的生成物を高い化学及び不斉収率が得ることに成功した。また、塩基を添加することで触媒量を2 mol%に低減でき、グラムスケールでも問題なく反応が進行した。更に、本反応の生成物を、様々な医薬品の合成中間体であるテトラヒドロフラン-2-カルボン酸に光学純度を損なうことなく合成することに成功した。本反応は、副生成物が水と酸化剤由来のアルコールのみであり、穏和な条件下で反応が進行する等、環境低付加型酸化反応である(Uyanik, Hayashi, Iwata, Ishihara Chem. Lett. 2016, 45, 353.)。
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