研究課題
特別研究員奨励費
我々はDNAを被覆したナノ粒子(DNA被覆ナノ粒子)を脂質二重膜内の脂質分子によって拡散させ、DNAによってナノ粒子同士を結合させることでナノ粒子の2次元結晶を作製する手法を開発した。本研究では、我々の考案した手法を用いて様々な構造を持つナノ粒子の2次元結晶を作製することを目的としている。そこで、ナノ粒子に被覆されているDNAの塩基配列を変化させ、塩基配列と結晶構造の関係を調査した。さらに、脂質二重膜の相転移が膜上のDNA被覆ナノ粒子に及ぼす影響を調べた。2次元結晶の構造制御に関しては、これまでにマグネシウムイオンの濃度を変化させることでDNA被覆ナノ粒子の2次元結晶の粒子間距離が減少し、また周期構造も変化することを明らかにした。さらに、ナノ粒子に被覆するDNAの塩基配列と結晶構造の関係を調べたところ、DNAの塩基数を増加させることで2次元結晶の粒子間距離を増加させることに成功した。よって、マグネシウムイオン濃度とDNAの塩基配列の2つのパラメータによって2次元結晶の構造を精密に制御できることが示唆された。また、脂質二重膜の相転移が膜上のDNA被覆ナノ粒子に及ぼす影響を調べたところ、カチオン性の脂質DDABから成る脂質二重膜が相転移によってゲル相と指組みゲル相を形成し、DNA被覆ナノ粒子が指組みゲル相に優先的に分配されることがわかった。DNA被覆ナノ粒子の有無による脂質二重膜の相転移の違いを調べたところ、DNA被覆ナノ粒子が膜に吸着した方が指組みゲル相の割合が増加していた。これは、DNA被覆ナノ粒子によって、膜内の指組みゲル相の形成が促進されたことを意味する。この原因は、DNA被覆ナノ粒子と吸着した脂質分子が指組みゲル相になりやすいためだと考えられる。そのため、脂質二重膜の指組みゲル相の形成位置や大きさによって、2次元結晶の形成位置やサイズを制御できる可能性が示された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件)
Journal of Crystal Growth
巻: 印刷中 ページ: 88-92
10.1016/j.jcrysgro.2016.09.063
Japanese Journal of Applied Physics
巻: 55 号: 3S2 ページ: 03DF11-03DF11
10.7567/jjap.55.03df11