研究課題
特別研究員奨励費
トリアス紀中期アニシアンは数回に渡り海洋が全球的に無酸素化しているが、海洋無酸素化の原因や海洋無酸素化前後の生物活動については遠洋域の情報が欠落しているため不明瞭な点が多い。そこで微化石記録により遠洋深海チャートの年代が詳細に制約されている愛知県犬山地域にて詳細な地質柱状図の作成及び1層準毎の完全連続での岩石採取を行い、アニシアンにおける古海洋環境復元を目指した。地質柱状図を作成した結果、有機物に富んだ黒色チャートが6区間ある事が明らかとなり古い方からAnisian-BC1からBC6とした。Anisian-BC1からBC6における生物活動を見積もるため海洋研究開発機構の元素分析/同位体比質量分析計を用いチャート試料42サンプルからδ13Corg測定を行った。その結果、Anisian-BC2、3、4にてδ13Corg 値は負異常を示し、また同地域の頁岩層から得た酸化還元鋭敏元素のMo、U濃度より海洋は強還元環境下であったことが示され、海洋無酸素化と生物死滅の同時性が初めて明らかとなった。一方でAnisian-BC1、5、6においてはδ13Corg 値の負異常は検出されず、かつMo、U濃度から海洋は強還元環境とまで言えなかった。これは同じアニシアンの黒色チャートと言えど、それぞれの酸化還元状態の程度は異なる事を示している。またAnisian-BC3、4での生物死滅と強還元環境を引き起こした原因を特定するため、東京工業大学の表面電離型質量分析計を用いてAnisian-BC3、4におけるチャート試料4サンプルのOs同位体比分析を行った。その結果Anisian-BC3、4ではOs同位体比が0.3-0.5といった値を示し、原因特定に関する直接的な証拠は得られなかった。今後Os同位体比の追加実験を行い、海洋の無酸素化を引き起こした原因の特定を行う予定である。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 6件、 査読あり 7件、 謝辞記載あり 3件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件)
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