研究実績の概要 |
【本年度の研究状況の概要、前年の状況との関連など】本研究課題「単一細胞の振る舞いから解き明かす胆管上皮組織リモデリング制御機構」は、2つの独立した研究アプローチから研究課題の達成を目指した。平成27年度の研究の結果、下記の結果①の実験を終了させ、研究成果を国際科学学術誌に投稿していた。平成28年度はその査読に関わる追加実験などをすすめ、採択された(eLife, 2016年5巻e15034項)。また、下記の結果②においても研究成果を科学誌に投稿するため、論文の執筆作業をおこなっている。また、これまでに得られた知見を発表することにも力を注ぎ、これまでに以下の3つの国際学会で発表を行った。 (1)Keystone symposia 2016, アメリカ、コロラド州(2)FASEB Science Research Conference Liver Biology, アメリカ,フロリダ州(3)Frontiers 2016 Symposium, スイス, ローザンヌ,また研究交流としてBroad Institute, マサチューセッツ大医学校、ワシントン大セントルイス校等を訪れ、セミナー発表を行った。 【研究結果】結界① 組織再生時に見られる胆管上皮細胞の増殖様式を解析した。 結果② 胆管上皮組織に隣接する外部環境である肝細胞の特性の変化が組織リモデリングと増殖を誘導することが明らかになった 【研究の意義、重要性】本研究課題は組織が障害されたあとの再生過程における組織増殖と形態変化を単一細胞の振る舞いから明らかにすることを目ざした。研究成果として、細胞の増殖様式を単一細胞レベルで記述できる数理モデルを構築し、その背後にある複雑な確率的現象を新規に発見した。また、形態変化に関わる要素の一つを同定した。これらの知見は基礎生物学の発展だけでなく、再生医療の基盤となることが期待される。
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