研究課題
特別研究員奨励費
当該年度,私は次の2つの成果を得た:(1)高次元臨界Kirchhoff型方程式の2つの正値解の存在証明(2)Dirichlet積分量を持つ非線形楕円型方程式に対する初等的アプローチの導入とその多重解の存在証明。(1)について:東京工業大学の柴田将敬氏とともにKirchhoff型方程式の高次元における「Sobolev臨界問題」の解決に取り組んだ。高次元における「Sobolev臨界問題」はKirchhoff型方程式の持つ非局所的係数と臨界非線形項との相互作用の影響により,解くことが非常に困難な問題として知られている。これは,解の存在証明のために重要な近似解の列(Palais-Smale列)の挙動を特徴づける極限方程式の解の一意性が壊れていることに起因する。これを受け,我々は,Fibering Map法と呼ばれる変分的手法の1つを近似解の列の解析に応用するという新しいアイディアを導入し,その困難の解決に挑んだ。結果として,当該研究分野において初めて,高次元における臨界問題の解の存在を証明することに成功した。この成果は当該年度における各学会および研究集会において講演を行った。さらに,同成果は一編の論文にまとめ,学術論文誌に投稿し査読を受けている。(2)について:ここでは,それまでKirchhoff型方程式の解析法として主流であった変分的アプローチとは異なる手法を用いて,その多重解の存在証明を行った。具体的には,Kirchhoff型方程式と,ある半線形楕円型方程式のスケーリングによる対応関係を利用することで,初等的な解析法でその解の存在証明を行うことに成功した。本研究結果は1編の研究論文として,専門誌より出版された。
翌年度、交付申請を辞退するため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
Journal of Mathematical Analysis and Applications
巻: 435 号: 2 ページ: 1710-1737
10.1016/j.jmaa.2015.11.030