研究課題
特別研究員奨励費
ヒルは,流体の粘度に対して,うねり泳動の波長を増減させる適応運動を見せる.昨年度は数値解析モデルにより,この適応運動が筋負担を一定に保つ役割を有することを示した.次に,ヒルの適応運動を再現させる位相方程式を探索した.本年度は,ヒルの適応運動を表現する分散制御則(位相方程式)を実験モデルに実装し,関節負荷が低減できることの確認を行った.まず,SMA アクチュエータによる小型推進体を製作する前段階として,出力に余裕のあるサーボモータを用いた推進体モデルを製作中し,アクチュエータの負担を安定化できるかを評価した.提案した制御則を実装した推進体(外径100mm)において,150[mm]の流路幅の流路を通過したときの関節に作用する負荷トルクを計測し評価を行った.この結果,提案手法により,制御がない場合より関節負荷が低減されることを確認した.また,流路通過時に各アクチュエータ間の駆動の信号の位相差が拡大し,うねり運動の波長が減少することを確認した.波長の減少は,流路から推進体の関節への反力トルクの増大に由来するものと考えられる.以上の実験結果は,提案手法により,狭い流路通過時の推進体のアクチュエータへの負荷が低減され,アクチュエータの破損の防止に繋がることを示したと考えられる.提案手法は,推進体の関節数だけ変数を持つ位相方程式を時間発展させることで,適応制御の実現が可能であり,マイクロコントローラのような非力な計算機でも実装可能であることを実験で示した.
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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