研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、ラジカル反応に基づく多様なダフナンジテルペン類の統一的合成法を確立することである。ダフナンジテルペン類は5/7/6員環の縮環した炭素骨格上の酸素官能基パターンの違いにより、様々な生物活性を発現することから、創薬標的として重要視される化合物群である。しかし、その構造の複雑さゆえ、ダフナンジテルペン類の柔軟かつ効率的な合成法の確立は、極めて挑戦的な課題である。またラジカル反応は、高度に官能基化された基質に対しても立体選択的に炭素結合を形成できる強力な合成手法であるが、分子間ラジカル反応における位置、立体の制御には困難が伴い、このような戦略による天然物の全合成はほとんど報告されていない。そのため、本研究により、創薬展開を志向したダフナンジテルペン類の統一的合成経路の確立と、ラジカル反応を用いた収束的な天然物合成の新たな方法論の提唱という2つの課題を解決することが出来る。本年度、申請者はダフナンジテルペンであるレジニフェラトキシンの効率的な合成経路の確立に取り組んだ。まず、前年度に達成したレジニフェラトキシンの全合成の研究成果をまとめ、米国化学会誌にて発表した。続いてこの結果を基に、さらに高効率なレジニフェラトキシンの合成経路の確立を目指し、極めて複雑に官能基化された5員環および6員環フラグメントを収束的に連結するための2成分ラジカルカップリングの開発に着手した。結果として新手法によるカップリング反応の完成には至らなかったものの、ラジカル反応を複雑天然物合成に適用する際の基質構造および反応条件に関する重要な知見が得られた。また、本研究で新たに合成した5員環フラグメントはレジニフェラトキシンのAB環に相当する官能基を十分に備えており、これを利用することで、効率的にレジニフェラトキシンが全合成できると予想される。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 3件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
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