研究課題
特別研究員奨励費
イソロイシン側鎖δ1位メチル基を選択的に1H,13C標識し、その他を2H標識したβ-アレスチン1を大腸菌発現系より調製した。1H-13C HMQCスペクトルを測定し、観測されたシグナルを変異体を利用して帰属した。rHDLに再構成したβ2ARをセンサーチップに固定化し、β-アレスチン1をアナライトとしたSPR解析により両者の親和性を決定した。その結果、βアレスチン1は、完全作動薬が結合し、かつC末端領域がリン酸化されているβ2AR変異体に対し強く結合する一方で、逆作動薬が結合している、もしくはリン酸化されていないβ2AR変異体に対しては親和性が弱いことが示された。以上の結果は、サイズ排除クロマトグラフィーによる相互作用解析の結果からも支持された。β-アレスチン1に対して、完全作動薬もしくは逆作動薬が結合したリン酸化β2ARを添加した条件で1H-13C HMQCスペクトルを測定した。その結果、完全作動薬結合状態のリン酸化β2ARを添加した条件では多くのシグナルが線幅以上の化学シフト変化を示したのに対し、逆作動薬が結合したリン酸化β2ARを添加した条件では一部のシグナルに線幅程度の化学シフト変化が観測されるのみであった。以上の結果から、β-アレスチン1が活性化型構造へと構造変化するためには、TMドメインが活性化構造をとり、かつC末端領域がリン酸化されたGPCRと結合することが必要であることが示唆された。また、特に顕著な化学シフト変化を示した残基はNドメインとCドメインの境界面に分布していたことから、活性化に伴う構造変化は、両ドメインの相対配置の変化を伴うものであることが示唆された。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
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