配分額 *注記 |
5,200千円 (直接経費: 4,000千円、間接経費: 1,200千円)
2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2016年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2015年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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研究実績の概要 |
我々の先行研究(Ide & Hidaka, 2013,Scientific Reports)で、触覚刺激と同期して提示した視覚刺激の知覚が阻害される効果を発見した。本研究課題は、この知覚阻害効果の生起機序とその神経基盤を明らかにすることを目的とした。fMRIの手法を用い、この効果が生起している状況で生じる脳活動を計測した。MRI撮影の前に行った視覚刺激の傾き判断の実験で、正答率が一定以上の実験参加者でのみ、触覚刺激の提示によって視知覚が阻害されることが明らかになった。知覚阻害効果が生じている参加者について、脳活動を解析したところ、この効果が生起する条件下では、両側のV1、V2、V3v、V3d、右二次体性感覚野(S2)、両側小脳、視床、上側頭回の脳活動が、ブランク時の脳活動と比べて低下していることが分かった。知覚阻害効果の強さを共変量とした解析では、右V1、V2の脳活動の低下が関連することが示唆された。このことから、右V1とV2をシードとし、これらの部位の脳活動抑制の程度と関連する部位をPsychophysiological analysis(PPI)で解析したところ、右側のS2と島皮質との間に機能的結合が見られた。この結果は、TIVS生起時には、触覚入力によって生じた二次体性感覚野の活動が強ければ強いほど、視覚野の活動が抑制されたことを示唆する。二次体性感覚野は多感覚の情報処理にも関わることから、この部位で触覚と視覚の入力が統合され、その後、視覚野の神経活動が調節された結果、視覚情報の知覚が阻害されている可能性が考えらえる。本研究成果は、Scientific Reports誌に掲載された(Ide, Hidaka, Ikeda & Wada, 2016, Scientific Reports)。現在は、この効果の生起量と参加者の自閉症傾向との関連についての研究を進めている。
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