配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2015年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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研究実績の概要 |
社会性において重要な役割を果たす、「共感」は、社会的文脈において、他者の心的および感情的な状態を推測することに基づいており、自分自身の感情と他者の意図や気持ちを洞察する認知とが融合してできたものであるとされている (Decety & Jackson, 2004)。 共感には、乳児が母親の内面を感じる体験である感情移入としての感情的共感 (一次的共感) (Kohut, 1966)と他者の立場に立ち感情を理解するという認知的共感 (二次的共感) (Kohut, 1977)があるとされており、発達段階の過程で獲得されていくものとされている。 しかしながら、親子間や夫婦間などの自己と親しい他者との双方向の共感が同期していく三次的共感の心理的・神経学的メカニズム(以後、三次的共感)は明らかにされていない。 三次的共感に必要な認知機能に関して、発達心理学および神経科学のアプローチを用いて家族内の共感体験に関与する心理・神経基盤を探究することは、親子間や夫婦間の役割を理解することにつながると考えられる。 平成29年度は、親子間および夫婦間における共感の心理的メカニズムを検討するために、2台のMRIで同時計測可能な生理学研究所の定藤研究室において、共感研究の実験計画を立案中である。さらに、共感の多面的検討を行うために、文化神経科学アプローチとして、内集団における共感過程を明らかにするために、顔表情認知に関与する神経基盤の文化的影響を検討した (Mano et al., submitted)。さらに、共感に関連した応用的研究として、うつ傾向の高い自閉スペクトラム症者の脳機能の研究にも従事している (Iidaka, Kogata, Mano, submitted)。
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