研究課題
特別研究員奨励費
多くのRNA結合タンパク質は細胞/組織特異的に発現することにより、細胞/組織特異的なトランスクリプトームを産み出すことに寄与していると考えられる。そのようなRNA結合タンパク質の一つであるQuaking5(Qki5)は、胎生期マウス中枢神経系において、神経幹細胞に特異的に発現し、ベータカテニンシグナル関連分子の選択的スプライシングを調節することにより、神経幹細胞の細胞接着及び極性を制御し、幹細胞の維持に必須であることを明らかにした(Hayakawa-Yano et al, Genes Dev 2017)。神経幹細胞におけるQki5の発現は、Tbr2陽性中間型前駆細胞に分化すると急激に減弱する。以前の報告から、Nineinタンパク質は神経幹細胞では2kb以上ある巨大な選択的exon18を含みセントロソームに局在し、一方、神経細胞に分化するとexon18は選択されず、Nineinは細胞質に局在し軸索の成長に関わるという制御機構が存在する。そこでexon18の制御機構について解析したところ、神経幹細胞ではQki5がexon18の下流イントロン領域に結合し、選択的スプライシングに促進的に働くことを明らかにした。即ちQki5はNineinの選択的exonの制御を介して神経幹細胞ー神経細胞の分化遷移に寄与していることを明らかにした(Hayakawa-Yano and Yano, Int J Mol Sci 2019)。Qki5は胎生後期になるとオリゴデンドロサイト(OLs)細胞系譜にも強く発現する。そこで、OLs分化に伴って変動するOLs特異的exonをOLego-Quantasにて明らかにし、OLs特異的exonにおけるQki5標的RNA部位の寄与率を検証した。今後、Qkノックダウン培養OLsを用いたmRNA-seq解析によりQkiによる制御機構を明らかにし、論文として発表する。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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