研究課題/領域番号 |
15K02190
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
芸術一般
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研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
須永 恒雄 明治大学, 法学部, 専任教授 (70106590)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2017年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2015年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 差別被差別 / タブー / ヒトラー / 反ユダヤ主義 / 反市場原理 / 障碍者 / 性差別 / 精神病 / ホロコースト / 被害者 / 精神病者 / 芸術家の家 / アール・ブリュット / 弱者 / マイノリティー / 差別 / パロディー / 頽廃芸術 / 人種 / 正常異常 / アールブリュット / 狂気 / 境界 / 本歌取り / 断罪 / 非寛容 / 宥和 / 個人の多面性 / 曖昧な政治意識 / ドイツ人一般と個人 |
研究成果の概要 |
先ず《我が闘争》について、シオニズムの主催者の名を騙るかのごときヘルツルが未だヒトラーになる以前のヒトラーを手厚くもてなすが、機密書類「我が闘争」をめぐって忘恩の憂き目をみる、ファルスすなわち笑劇と副題を添えられたこの戯曲の、換骨奪胎の妙味とそれの齎す一切の価値転換の模様を調べた。《白男と赤顔》には、精神身体障害の娘とその父とが、持物を略奪され、唯々諾々とむしろすすんで譲渡する、無際限の寛大、通念を逸脱する価値転換が確認できた。《M》では、障碍者俳優ラトケを中心にタボリのまさに融通無碍な芝居作りの現場に、監督と俳優たちとの垣を超えたあるいは双方向の共同作業の実態にタボリの真骨頂を見る。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
昨今の差別撤廃の流れが表面上は一般化しながら実態は主として市場原理的主義による判断基準の単純化固定化が蔓延する中、ナチスの大量虐殺の被害者の立場を活かしつつ被差別側の視点から、またその弱者の視点をも相対化する融通無碍の視点から、様々な剣呑な素材を舞台上に展開するG.タボリの演劇は極めて時宜に適した衝撃を与え得る。即ちヒトラーにも糾弾される正面のみならず側面の奥行きを探り、また障碍者を展覧に供することで美の新たな局面を拓く。主客の固定した関係を見直し、諸変化を閲する主体の所在を開示する、これは甚だアクチュアルな観点を与え得る稀有の演劇人である。
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