研究課題
基盤研究(C)
『ロビンソン・クルーソー』(1719-20年)の日本における受容史の研究には一定の蓄積があるものの、子ども向けに再話されたテクストやその出版については研究が進んでいなかったので、本研究は、日本での「翻訳児童文学」としてのこの作品の受容に着目した。その結果、明治以来の日本の近代児童文学とその出版というコンテクストのなかで、『赤い鳥』や『少年倶楽部』などに発表された翻訳物語と同じような文体的な特徴やイデオロギーにもとづく再話がなされていることが分かった。また日本の英語教育のなかでもこの作品がさまざまに書き直されて用いられてきたことも明らかになった。
本研究は、これまで外国文学研究でも日本文学研究でも等閑視されてきた翻訳児童文学を、近代日本児童文学史のなかにきちんと位置づけて議論した。また、明治以来の世界文学と西洋文化の受容の一形態として、翻訳児童文学は大きな役割を果たしているので、具体的なテクストに即してその受容の様態の一端を明らかにしたことで、日本が世界とどのように関わってきたかを考えるうえで大きな社会的意義を持つと考える。
すべて 2019 2017 2016 2015
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 図書 (2件)
比較文化研究
巻: 125 ページ: 115-126
40021136196