監獄と植民地統治の関係性について、とりわけ英語圏カリブ文学を対象として、検討した。結果から言うと、当初の目標の一部である、アフリカ文学と監獄の関連性については十分に調査、執筆予定を達成することはできなかった。ただし、予定としていた英語圏カリブ文学に関しては一定の成果をおさめることができた。とりわけ、C.L.R.Jamesのメルヴィル論を基軸とした監獄文学論は、論文として形にするところまではもっていくことができた。さらに、ここから派生した問題系として、冷戦期の比較文学論として、米軍占領下の東アジア(朝鮮戦争と沖縄)と英語圏カリブ文学を比較するという視座が生まれたことは予想せぬ成果であった。
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