本研究は、ミューア J. Muir が初めてアラスカ探検に旅立った際の経緯と、ミューア・ネイチャーライティングにおける最大の特徴である「文学と科学の融合」を、彼の『アラスカの旅』の中に読み解こうとしたものである。L. M. Wolfeは、1879年7月にヨセミテでS. Jacksonが行った講演に接したことがミューアにアラスカ行きを思い立たせた契機であるとしているが、本研究は、これが誤りであることを実証した。また、同作品においてミューアが、先住民の遺物に関する「科学的記述」と「主観的な描写」の統合的叙述によって、文学と科学の融合を目指していることを、詳細なテキスト解釈に基づいて論じた。
|