研究課題/領域番号 |
15K02379
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
ヨーロッパ文学
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
田口 紀子 京都大学, 文学研究科, 名誉教授 (60201604)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2020-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2019年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2017年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2016年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2015年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | リアリズム / フランス小説史 / 歴史叙述 / フランス文学 / 仏文学 |
研究成果の概要 |
本研究は19世紀フランス文学において3人称リアリズム小説が成立した経緯を、作品内に演劇的構造を措定することにより解明したものである。語られる事件は「舞台」上で繰り広げられ、それを「語り手」と「聞き手」が観客として鑑賞する構造をとることで、3人称の「語り手」のみが持つ全知・遍在性が可能となる。この「語り手(=作者)」と「聞き手(=読者)」は同時代のパリ市民の属性を備えている。リアリズム小説で目指されているのは客観的な社会描写ではなく、彼らの視点から見た「リアル」な社会なのである。「リアリズム」とは同時代の観察者の主観に媒介されたものとしてはじめて可能となったことを示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
19世紀前半、大革命とナポレオン戦争を乗り越えて新たに社会の担い手となった新興ブルジョワジー達は、自らの社会を忠実に映し出す「鏡」を必要とした。新しい「歴史」として散文で記録される物語は、文学の伝統的ジャンルである演劇から舞台上演の構造を借りた。そこでは描かれる事件を舞台で上演される演目、作者はそれを演出・監督する「語り手」として、「聞き手(=読者)」に進行する事件を解説し、同時代の読者と物語世界をつなぐ役割をになう。リアリズム小説は、作家と読者の物語をめぐる「共犯関係」を前提として成立したことを、19世紀フランス文学に関して明らかにした。
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