研究課題/領域番号 |
15K02822
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
史学一般
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研究機関 | 大谷大学 |
研究代表者 |
井黒 忍 大谷大学, 文学部, 准教授 (20387971)
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研究協力者 |
飯山 知保
李 大海
張 俊峰
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2018年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2017年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2016年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2015年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | 水利権 / 水利組織 / 水利碑 / 水冊 / 公水 / 基層社会 / 重刻碑 / 宗族 / 私水 / 水利権売買 / 水利連合 / 水利伝統 / 水利秩序 / 公共性 / 地域社会 / 水資源 / 村 / 増刻碑 / 資源配分 / 村落連合 / 碑刻 / 社会構造 / 民族構成 / 回族 |
研究成果の概要 |
前近代中国における水争裁定の基調は旧例遵守にあり、各自の根拠は水利権の歴史性を具現化する水利碑や水冊に求められた。16世紀後半より顕在化した水利権の単独売買は、経済的強者による水利権の集積を生み出すのみならず、村外へと水利権が流出することで、村の割り当て水量が減少するという問題を生み出した。こうした状況のもと、18世紀頃から村が主体となり、水利組織を介して売買契約に関与する事例が現れる。さらに19世紀末から20世紀初めには、前例ではなく公平さに依拠し水資源管理および利用を行うべきだとして、共同所有や共同利用が主張され始め、「公水」や「私水」の語が史料中に現れるなど、水利権の概念に変化が生じた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究により、現在および将来的な水資源枯渇という問題に対する解決策の一つとして取り上げられる、水利権の売買やその商品化という現象が、すでに16世紀の中国において発生し、これが社会秩序を揺るがす問題をも生み出していたことが明らかとなった。同時に、この問題への対応を迫られる中で、村を単位とするコミュニティがその結集力を強め、さらにこれが資源の共有を求める方向へと進んだという事実は、従来の研究における中国の村や公共性の理解に修正を迫るものである。本研究によって得られた知見は、公共性に基づく資源管理とその利用という将来的な課題を考えるためにも重要な意義を有するものである。
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