研究課題/領域番号 |
15K02892
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
アジア史・アフリカ史
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
古畑 徹 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (80199439)
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研究分担者 |
古市 大輔 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (40293328)
小林 信介 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (50422655)
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研究協力者 |
小嶋 芳孝
井上 直樹
赤羽目 匡由
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2019-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2018年度)
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配分額 *注記 |
4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2018年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2017年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2016年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2015年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | 渤海 / 金毓黻 / 史学史 / 中国東北 / マンチュリア / 東北アジア / 静晤室日記 / 満州事変 / 満洲事変 |
研究成果の概要 |
金毓黻の『渤海國志長編』は、満洲事変で軟禁中の1931年11月に執筆を開始し、解放された12月に大体を書き上げたが、初稿は1932年1月に完成し、改稿・増補を経て、1934年5月に刊行された。彼は渤海領域図に旧地名を入れ、満洲国否定の意思を明確にしたが、その説明をする「叙例」を1931年12月作成と記し、日本側に真意を悟られないようにした。当時の彼の満洲国否定意識は、愛国より愛郷によるもので、彼には中国東北を蔑ろにしてきた中央への批判意識もあった。日本批判とは裏腹に、日本人研究者と密接に交流しており、亡命後も相互に尊敬しあう姿も確認できた。そこには現在の論争を解くヒントを見ることができる。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究の目的は、現在の中国における渤海史研究の原点が1930 年代の草創期にあるとの理解のもと、それをリードした金毓黻を中心に、渤海史研究と当時の「満州」をめぐる政治情勢や中国ナショナリズムの動向との関係を史学史的に明らかにし、渤海史研究の停滞状況克服への道筋をつけ、日中の歴史学界の議論を噛み合わせる土台を形成して、研究の新たな地平を開拓することである。研究成果として、従来の中国側認識よりも複雑な金毓黻の事情と、国家間の対立を超えた研究者間の交流と相互理解の様相が確認できた。この事実は、渤海史研究のみならず、立場の違う研究者同士の学術交流のあり方にヒントを与えるものといえる。
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