EUにおける需要力濫用規制の具体的展開として、EU加盟国の規制、英国の綱領審判官制の規制、ドイツの競争制限禁止法19条2項の規制に係わる比較法的考察を行った。その結果、市場力規制を任務とする独占禁止法の体系に位置付けられた優越的地位濫用の規定につき、相対的市場力の規制が、公正な競争秩序の要請に結びつく体系的一貫性があることを明らかにした。また、昭和57年の独禁研報告書に貢献をした正田/今村教授の学説は、相対的市場力の濫用が公正な競争秩序維持の規制と結びつけられる理論構築により、市場力規制の法体系に需要力濫用規制が位置付けられる先駆的,現代的意義を有する規制の基礎固めをした点の評価をした。
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