研究課題
基盤研究(C)
本研究は、①啓蒙理性批判の哲学的アクチュアリティの考察、②受苦的経験をめぐるユダヤ思想の精神的遺産の考察、③カタストロフィ経験(水俣病、ハンセン病など)に関する思想的蓄積の検討、④現代思想における潜勢力、形なきもの、無力さ・弱さの思考に関する分析という4つの研究軸にしたがって進められた。人間の生が本来はらむ「もろさ」「無力さ」「弱さ」など受苦的契機(パトス)に着目し、「パテイ・マトス」(受苦を通して学ぶ)という知の系譜が有しうる固有の意義を論じ、「パトスの知に基づく人間学」の構想に向けた方向性を示した。
人間の生が本来はらんでいる「もろさ」「無力さ」「弱さ」など受苦的契機(パトス)は不当に低い評価を受けるか、避けられるべきものと思われがちである。しかし、本研究は、このパトスの要素を正当に意義づけようと試みるものである。古代ギリシア以来の「パテイ・マトス」(受苦を通して学ぶ)という知の系譜は、あらかじめ先取りされた確実性に方向づけられる学知(ある種の自然科学や官僚制の原理)とは別の、固有の意義を持っている。この視座は、世界で生じている破局的できごと、生老病死に苦悩する人間の問題を考えるうえで、哲学、人間学、教育学、宗教学、医学など広い社会領域・学問領域にまたがる共通の問題に示唆を与えうる。
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