研究課題
基盤研究(C)
銀河団の形成過程で銀河団衝突によって生じた乱流は銀河団ガスの粒子をin-situ加速すると考え,Fokker-Planck方程式を用いて,粒子のエネルギースペクトルの形成過程と乱流の減衰に伴う時間発展を調べた.加速された電子によって観測と矛盾しない電波強度を得るとともに,運動量空間での移流・拡散過程で小角度散乱による高次項まで考慮することで,冷却コア程度の密度で電子温度が約2倍になる加熱が起こりうることを示した.また,このときの乱流速度や硬X線放射が観測と矛盾しないことも示した.
乱流による加速は,衝撃波加速と相補的に,宇宙の高エネルギー粒子加速において重要な物理過程であり,衝撃波に比べて加速時間がかかるが硬いスペクトルをつくれるという特徴がある.銀河団ガスでは,衝撃波と同様に,乱流による加熱が期待されるが,分布関数で実証した例は少なく,あっても拡散係数に変更を加えるものであった.本研究では,拡散係数を高次の項まで考慮することで加速・加熱を整合的に示すことができた.インジェクション項を持たない2次Fermi加速過程をより適切に扱う一つの方法を示したと言え,広く,宇宙の高エネルギー粒子や星間・銀河間ガスの加熱の理解に寄与するものと考える.
すべて 2019 2018 2017 2016 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 1件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (12件) (うち招待講演 1件)
Astrophysical Journal
巻: 847 号: 2 ページ: 10-20
10.3847/1538-4357/aa88d3
The Astrophysical Journal
巻: 836 号: 2 ページ: 225-235
10.3847/1538-4357/836/2/225