配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2017年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2016年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2015年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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研究実績の概要 |
複素環の窒素原子をLewis塩基部位弱いLewis酸を酸性部位にもち,それらの協働効果による活性化効果の発現を検討するに当たり,用いる複素環の選択が必要となる。そこで,ピリジンと比べて検討例の少ないピリダジンに着目し,その特性を把握することにした。4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)は,求核触媒として汎用性が高く,特に酸無水物とアルコールからエステルを生成させる反応では,最も広く用いられている触媒であるが,対応する4-ジメチルアミノピリダジンの触媒能が著しく低いことが報告されていた。そこで,5位にもアミノ基を導入し2つのアミノ基を環内に固定すれば不利を克服して触媒能が上がると考えその誘導体を検討することとした。合成に関しては,3種類の誘導体をそれぞれ4段階で合成できた。その際に,対称の4,5-ジアミノ体に加えて非対称の3,4-ジアミノ体も副生したので,その検討も行った。Et誘導体についてCD3CN中で塩基性を比較したところ,非対称体>DMAP>対称体となり,非対称体と対称体とでは,pKaの差が1のあることがわかった。また,フェナシルブロミドを求電子試薬に用いて求核性を比較したところ,CDCl3中では,非対称体:対称体:DMAP=19:6:1,C6D6中では,非対称体が溶けなかったためそれ以外について比較したところ対称体:DMAP=14:1となった。上記のエステル化反応における触媒能を検討したところ,CDCl3中では,DMAP:非対称Et体:対称Et体:非対称Bn体:対称Me体:対称Bn体の順となりおおよその速度比が9:3.5:3:3:1:1となった。ところが,C6D6中では,DMAP:対称Et体=1:2と逆転し,分子設計がある程度正しいことが示された。この結果の詳細について,論文として報告を行った(J. Org. Chem.2016, 81, 8710-8721.)。
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