研究課題
基盤研究(C)
生体内で起こる化学反応の触媒である酵素は水素イオンと電子の移動を円滑に進行させているが,その駆動力の由来についてはまだ十分に検討がなされていない.本研究においてはその移動の機構を見通しよく探るための方法論を開発した.これは反応中間体を水素イオンと電子の数によって分類して並べ,それらのもつエネルギーを縦軸に取った鳥瞰図を描き,さらに精密な構造との対応付けを行うことで,酵素の触媒反応がどのような構造的な力をもとにどのような道筋で進行するかということを明らかにするものである.その成果はアミン酸化酵素やトレオニン合成酵素といった生理的,産業的に重要な酵素の反応機構の解明に応用された.
今までの酵素反応機構の研究は現象の追跡に終始していたが,本研究はその現象がどのような力によってもたらされているかという,本質的な要因を明確にする方法論を確立したところに学術的な意義がある.また,この方法論によって酵素反応機構を明らかにする研究の方向性が明確になることは,現在,洗剤などの日常生活から薬品や各種素材の製造といった工業分野に至るまで酵素の触媒能力が応用されている領域において,望みの機能を持った酵素の開発を容易にすることにつながるという社会的意義がある.
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すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 3件、 招待講演 3件)
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