研究課題/領域番号 |
15K05985
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
電子・電気材料工学
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
土屋 英昭 神戸大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80252790)
|
研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2017-03-31
|
研究課題ステータス |
中途終了 (2015年度)
|
配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2017年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2015年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | グラフェン / h-BN / モンテカルロ / ゲルマネン / シリセン |
研究実績の概要 |
近年シリコン電界効果トランジスタ(Si-MOSFET)の微細化が進んでいるが、量子物性的な要因によりこれが限界を迎えてきている。そこでMOSFETのチャネル材料やチャネル構造を改良することで性能を向上させる試みが注目を浴びている。本研究では新しいチャネル材料を用いることによるチャネル移動度の向上、消費電力の低下を目的としている。そこでチャネル材料として単一原子層からなる二次元材料に注目し、実際の電子デバイスへの応用を想定したうえで電気特性を解析した。二次元材料の中でも特に炭素、シリコン、ゲルマニウム原子から構成されるグラフェン、シリケイン、ゲルマナンに注目した。 グラフェンは高い電気移動度特性を持ち、チャネル材料として極めて有用である。実際のデバイスではグラフェンを基板の上に乗せて用いることが想定されるが、この基板表面の影響により移動度が低下してしまうことが考えられるので、最適な基板の選択が求められている。本研究ではh-BN(ヘキサゴナルボロンナイトライド)という物質を用いた基板に着目し、モンテカルロシミュレーションにより速度電界特性を解析した。その結果、基板上グラフェンの飽和速度は基板がない状態に比べて低下すると考えられていたがh-BN基板上グラフェンでは基板がない状態よりも逆に飽和速度が増大するという興味深い結果が得られた。 次に、グラフェンナノリボン、シリセンナノリボン及びゲルマネンナノリボンをチャネルとするFETのバリスティック性能を材料間で比較検討する取り組みを行った。強束縛近似法によるバンド構造解析とバリスティックFETモデルを結合させる手法を用いて、3種類のナノリボンFETの性能比較を行った。その結果、同一のバンドギャップ値(オフ電流値)の下では、グラフェンナノリボンFETが最も高い電流駆動力を示す可能性があることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究により、ナノリボン構造を用いてバンドギャップを開かせたグラフェンナノリボン、シリセンナノリボン及びゲルマネンナノリボンをチャネルとするFETのバリスティック性能を材料間で比較検討し、同一のバンドギャップ値(オフ電流値)の下では、グラフェンナノリボンFETが最も高い性能を示す可能性があることを示した。また、h-BN基板上のグラフェンでは、飽和速度が増大するという興味深い結果も得られている。以上のことから、研究はおおむね順調に進んでいると判断している。
|
今後の研究の推進方策 |
今後の研究方針として、まず、様々な基板上グラフェンの電子速度を明らかにするために、h-BN基板だけではく、工業的に重要なSiO2基板やHfO2基板を対象とし、それら各種基板からグラフェン中の電子に大きな影響を与えると言われている極性光学フォノン散乱のモデル化を行っていく。 次に、二次元材料であるシリケインとゲルマナンをチャネルとするFETのバリスティック性能比較を行う。シリケインとゲルマナンはナノリボン構造を導入しなくても、1eV程度のバンドギャップを有することから、特に、スイッティングデバイスとしての期待が高い材料である。前年度と同様に、強束縛近似法とバリスティックFETモデルを用いることで、バリスティック輸送下での両者の性能比較を行い、様々な動作条件に対する両デバイス間の優劣を明らかにしていく予定である。同時に、グラフェンナノリボン、シリセンナノリボン、ゲルマネンナノリボンFETとの比較も実施する。 さらに、チャネル長が10nmを下回る極短チャネル原子層FETのサブスレッショルドリーク電流の問題を明らかにするために、新たにソース・ドレイン間トンネリングを考慮したバリスティックFETモデルの開発に着手する。そしてチャネル長が10nm以下のFETの特性を解析できるようになった段階で、黒リン(Black Phosphorene)などの新たな2次元材料への適用を開始する。
|
次年度使用額の使用計画 |
次年度の予算と合わせて、その他の消耗品の購入に使用する。
|