研究課題
基盤研究(C)
本年度は(1)土壌種による廃石膏からの硫化水素生成挙動の違いの把握とその原因の解明の探求として,仙台市近況の火山性土壌を数箇所から採取し,各土壌における硫化水素生成挙動及び微生物群集挙動の変化を確認した.また,より硫化水素が発生しやすい環境である廃棄物処分場からも土壌を採取し同様の検討を実施した.さらに,(2)土壌中において低環境負荷な手法によって硫酸還元細菌活性の特異的抑制をすることを目的として,アルミニウムを用いた硫酸還元細菌の抑制効果について定量的な評価を実施した.その際,硫酸還元細菌として2株,非硫酸還元細菌として3株の単離株を用いた.それらの検討の結果,土壌種によって硫化水素生成挙動並びに微生物群集構造が異なることが示された,特に火山性土壌の場合,特異的に硫化水素が生成しない条件があることがわかり,その時には硫酸還元細菌の活性が抑制されることが示された.一方,廃棄物処分場土壌では通常の土壌よりも高い濃度の有機物を含有することから様々な従属栄養細菌が多様に分布し,微生物群集全体が活発であることが示され,その結果として硫酸還元細菌の活動も大きくなっていた.アルミニウムによる硫酸還元細菌の抑制については,グラム陰性硫酸還元細菌であるD. vulugarisDSM644株でほぼ完全な抑制が示された濃度において,実験に使用した非硫酸還元細菌でば抑制の兆候は認められなかった.すなわち,アルミニウムによる硫酸還元細菌の特異的阻害条件があることが示された.
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