研究課題
基盤研究(C)
TCR遺伝子治療においては、いかにして個々の患者から迅速にガン特異的TCR遺伝子を取得するかが重要な課題の1つである。本研究では「ガン特異的TCR遺伝子を簡便・迅速に取得するシステムの構築」を目的として研究を行った。初年度は、単一T細胞からTCR cDNAを効率よく簡便に増幅するために、One-step multiplex RT-PCRを用いた方法を確立した。これにより、ヒトおよびマウスの単一T細胞から、80%以上の効率でTCRαβ cDNAの増幅が可能となった。また、TCRの機能を迅速に解析するために遺伝子改変細胞(293T-Luc)を作製した。この細胞を用いたルシフェラーゼ・レポーターアッセイにより、最短4日でTCRの抗原特異性を評価することが可能となった。また、C57BL/6マウスのB16F10メラノーマ腫瘍浸潤T細胞(TIL)を取得し、それらから我々のPCR法により迅速・簡便にTCR cDNAの増幅が可能であることを確認した。次年度は、5匹の担癌マウスから取得したCD8+CD137+ TIL由来TCR遺伝子(13種類)をレトロウイルスベクターを用いてマウス脾臓由来のT細胞に遺伝子導入した。そして、そのT細胞とB16F10を共培養し細胞傷害活性を検討した。その結果、9種類のTCR遺伝子導入T細胞においてB16F10に対する細胞障害活性が認められらた。次に、ルシフェラーゼを恒常的に発現するB16F10細胞株B16F10-Lucを作成し、この細胞を用いてマウスの肺転移モデルによりTCRの細胞傷害活性能を評価した。in vitroで細胞障害活性の高かった2種類のTCR遺伝子導入細胞T細胞を用いてB16F10-Lucの肺転移を、5匹のマウスで解析した。その結果、2種類のTCR遺伝子導入細胞T細胞はコントロールに比べ優位にB16F10-Lucの肺転移を抑制することが示された。
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Biochem Biophys Res Commun
巻: 474 ページ: 709-714
Science Translational Medicine
巻: 7 号: 310 ページ: 1-13
10.1126/scitranslmed.aac5477