研究課題
基盤研究(C)
PARP阻害剤が、epigeneticな作用点を持つ抗がん剤として効果を発揮すること、その機構を探索する上で、昨年度は PARP阻害剤 (Olaparib)により発現低下が誘導されるDNMT family member (DNMT Fm)を同定し、さらにそのfamily memberを同時にノックダウンすることで、PARP阻害剤を使用せずに A549の増殖低下を誘導されることを明らかにした。加えてBRCA欠損細胞株3株を含むがん細胞株15種類を用いて、Olaparibの感受性を検討したところ、各細胞株における上記のDNMT Fmの発現量と、Olaparibの感受性の間に負の相関が認められることを見出し、上記のDNMT Fmの高発現が、Olararibの新しいpredictive markerとなり得る可能性を示した。今年度は、まず 昨年度に見出されたhomologus recombination proficientでDNMT Fm高発現のがん細胞株Aを用いてxenograftを作成し、Olaparibの制がん効果を検討すると、50 mg/kgの腹腔内投与により、Olaparibは統計的有意に腫瘍増大を抑制した。加えて、PARP阻害剤による制がん効果をより深く理解するため、がん細胞株Aを用いて、Olaparib処理下と上記のDNMT Fmノックダウン下で遺伝子発現変動を網羅的に解析した。その結果、Olaparibまたは DNMTノックダウンにより発現上昇するがん抑制遺伝子が同定され、このときOlaparib処理によって がん抑制遺伝子のpromoterのメチル化が低下することも見出された。 よって、PARP阻害剤は、DNMTの発現低下を介して epigeneticに不活性化されているがん抑制遺伝子を再活性化して、制がん効果を発揮している可能性が示された。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (1件)
Sci Rep.
巻: on-line paper 号: 1 ページ: 18231-18231
10.1038/srep18231
120006987240