研究課題
基盤研究(C)
分裂停止し老化した正常ヒト線維芽細胞からiPS細胞を樹立できるかどうかを検討した。その結果、山中リプログラミング4遺伝子(Oct3/4, Sox2, Klf4, c-Myc)のみの導入では樹立することはできず、Lin28、SV40LTと2種類のエピジェネティクス制御化合物の追加により、非常に低い頻度ではあるが樹立することができた。老化細胞由来iPS細胞の増殖や形態は、50回以上継代を重ねても、老化前の細胞由来iPS細胞と変わらず、網羅的遺伝子発現、ゲノムワイドのDNAメチル化およびヒストン修飾の比較解析においても差はほとんど見られなかった。
細胞老化は、DNA損傷、酸化ストレス、がん遺伝子発現などのストレスによって誘導され、不可逆的に細胞分裂が停止する現象であるが、その分子機構はまだ不明な点が多い。本研究では、分裂能を完全に失い老化した正常ヒト線維芽細胞から、非常に低い頻度ではあるがiPS細胞を樹立することができた。このことから、エピジェネティックな変化によって細胞は老化するが、リプログラミングによってエピジェネティックな変化はリセットでき、分裂停止した老化細胞は若返ることができると考えられる。
すべて 2019 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち国際共著 1件、 査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 図書 (1件)
International Journal of Molecular Sciences
巻: 20 号: 4 ページ: 810-810
10.3390/ijms20040810
Cell Stem Cell
巻: 23 号: 6 ページ: 850-858
10.1016/j.stem.2018.10.005
STEM CELLS Translational Medicine
巻: 8 号: 3 ページ: 260-270
10.1002/sctm.18-0096
Molecular Cell
巻: 68 号: 3 ページ: 626-640
10.1016/j.molcel.2017.10.001