研究課題
基盤研究(C)
酵母のミトコンドリアDNA(mtDNA)結合タンパク質の進化を明らかにするために、分裂酵母S. pombeから同定したCmb1の機能を、出芽酵母S. cerevisiaeのAbf2pと比較して解析した。Cmb1とAbf2pの発現量を変えて、S. cerevisiae abf2欠損株が示すmtDNAの不安定性を相補できるかを調べた。その結果、abf2欠損株が示すミトコンドリア核様体の形態異常、呼吸活性の高温感受性、エチジウムブロミド感受性の相補性に関して、Cmb1とAbf2pで違いが認められた。この結果は、酵母の進化の過程でmtDNA結合タンパク質の機能が多様化したことを示している。
ミトコンドリアは、細胞が必要とするエネルギーの大部分を生産する重要な細胞小器官である。近年、ミトコンドリア遺伝子の突然変異や欠失がミトコンドリアの機能低下をもたらし、ヒトの疾病、老化、寿命に関与することが明らかになるとともに、ミトコンドリアに対する社会的関心が高まっている。そして、ミトコンドリアDNAを毒性のある活性酸素から保護するミトコンドリア核様体構造の重要性も理解され始めている。本研究の成果は、ミトコンドリア核様体を構成する主要なDNAタンパク質によるミトコンドリアDNAの安定化の仕組みの一端を解明するものであり、ヒトのミトコンドリア研究への貢献も大きいと考えられる。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 2件、 オープンアクセス 6件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (26件)
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