研究課題
基盤研究(C)
本研究では、土壌棲息菌である<i>Rosellinia necatrix</i>と根系棲息菌である<i>Diaporthe sclerotioides</i>を供試病原菌とし、以下の調査・研究を行った。(1)病原菌が無病徴感染(=共生)できる雑草の種類を病原菌汚染圃場で生育している雑草根を用いて定性PCRによって判定した。(2)病原菌と共生する雑草種を用い、接種試験によって病原菌と雑草との共生期および栽培植物との寄生期について、病原菌量を定量PCRによって測定した。(3)病原菌汚染土壌で感受性宿主と共生する雑草種を同時に栽培し、雑草との共生が病原菌感染を助長し得ることを明らかにした。
植物病理学において、雑草は第一次伝染源となる場合に耕種的防除の重要項目として取り上げられて来た。しかし、農業生態系の中で栽培植物に寄生し病原性を示す微生物が、雑草に対して共生している事例は一部の病原菌のみでしか明らかにされていない。その理由として、多種多様で、しかも無病徴である雑草から病原菌を検出・定量する困難さが考えられるが、この問題は病原菌に対する定量PCRアッセイを適用することで解決できた。本研究では、土壌中で異なった棲息形態を示す2種の土壌病原菌について、この手法を雑草との共生に適用することによって、今日まで隠れていた病原菌の生態の一端を解明することができた。
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Microbes and Environments
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