研究課題
基盤研究(C)
本研究では養殖環境より分離されたVibrio属細菌が有する伝達性多剤耐性プラスミドpSEA1の全塩基配列を決定し、受容菌である大腸菌染色体への組み込みはプラスミド上に存在する約14kbのトランスポゾンTn6283が関与する新規メカニズムによるものであることを提唱した。すなわちTn6283は自身がコードしているリコンビナーゼの働きによりプラスミド上から切り出されて環状化し、大腸菌染色体上の特定の領域に組み込まれること、さらにこのTn6283と元のプラスミド上のTn6283の間で相同性組み換えが生じることで多剤耐性プラスミドpSEA1全長が大腸菌染色体へ取り込まれていることが強く示唆された。
細菌間で行われる遺伝子の伝達は薬剤耐性菌の出現・拡大を理解するための重要なファクターである。本研究ではこれまで現象のみが知られていた、伝達性プラスミドが受容菌へ伝達された後にその染色体へ潜り込むメカニズムを明らかにした。学術性意義としてはプラスミド上のトランスポゾンがプラスミド全長の染色体への組み込みをアシストしているというトランスポゾンの新規機能を明らかにした点である。一方、耐性遺伝子がこれまで考えられてきた以上に多様かつ複雑なメカニズムで細菌間を移動している可能性を示した点は薬剤耐性菌問題を考える上で重要な知見であり非常に社会的意義が高い。
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PLos One
巻: 13 号: 6 ページ: e0198613-e0198613
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120006715750
Journal of Global Antimicrobial Resistance
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巻: 印刷中