研究課題/領域番号 |
15K07777
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
統合動物科学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
新井 浩司 東京農工大学, 農学部, 准教授 (70293016)
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研究期間 (年度) |
2015-04-01 – 2018-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2016年度)
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配分額 *注記 |
4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2017年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2016年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2015年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 三次元培養皮膚モデル / 炎症 / サイトカイン / IV型コラーゲン |
研究実績の概要 |
通常三次元培養皮膚モデルは、ヒト皮膚線維芽細胞を含むコラーゲンゲルを真皮モデルとし、その上に正常ヒト表皮角化細胞を重層して作製している。しかし正常表皮角化細胞の培養にはコストと手間がかかり、さらに出来上がったモデル系も炎症関連遺伝子の発現が高く、正常皮膚のモデルとはいいがたい。本研究では大きく二つのアプローチを試行しており、一つは炎症反応の原因となる表皮由来のサイトカインから真皮を隔離するための良好な基底膜の構築であり、もう一つは表皮角化細胞由来のサイトカイン分泌をコントロールするものである。不死化ヒト表皮角化細胞であるHaCaT細胞では炎症関連遺伝子の発現が低く、この細胞を用いることにより非炎症型皮膚モデル系の構築が可能であると考えられ、さらに外来遺伝子の導入も可能である。HaCaT細胞は炎症性サイトカインの発現が低いが、良好な表皮層の形成には表皮由来のサイトカインが必要である。28年度は通常のHaCaT細胞にテトラサイクリン誘導性サイトカイン発現カセットを導入することを試みると共に、通常のHaCaT細胞に表皮層の重層に必要な期間だけサイトカインを添加する培養法も試みた。また、基底膜構造の改善を期待してIV型コラーゲン遺伝子を導入したHaCaT細胞を作製し、良好な皮膚モデルの作製を試みた。サイトカインのコントロールによる皮膚モデル系改善の試みにおいては、サイトカイン発現カセットを恒常的に導入したHaCaT細胞は未だ得られていない。しかし、外因性のサイトカイン添加による皮膚モデル構造の改善については比較的良好な結果が得られている。一方、IV型コラーゲンを恒常的に発現するHaCaT細胞については二つの株が得られており、このHaCaT細胞を使用するとサイトカインの添加なしでも良好な表皮層の重層化が観察されている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究では大きく二つのアプローチを試行しており、その内の一つであるサイトカイン分泌のコントロールについてはサイトカイン遺伝子を導入したHaCaT細胞は得られていないものの、外因性のサイトカイン添加により比較的良好な皮膚モデルの構築が可能となっている。また、もう一つの試みである良好な基底膜の構築に関しては、IV型コラーゲンを過剰発現するHaCaT細胞が得られており、この細胞を用いることで良好な皮膚モデルの構築が可能であることを確認している。しかしながら、当初の予定では現在までに良好な皮膚モデル系が完成しており、29年度開始時点から様々なアッセイ系への応用に取りかかる予定であった。現在のペースではアッセイ系への応用に関する実験は29年度後半になるものと予想される。
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今後の研究の推進方策 |
28年度に作製したHaCaT細胞を使用した良好な皮膚モデル系について、炎症関連因子の遺伝子発現パターンなどを調べ、作製した皮膚モデル系が非炎症型と呼べるものか否かを検討する。また、これらの皮膚モデル系を様々なアッセイ系に適用し、良好なアッセイ系として使用可能か否かを検討する。
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